要旨
静岡県きのこ総合センター振興協議会(以下「協議会」という。)では、伊豆産乾しいたけの新たな販路を開拓することを目的として、沖縄県で開催された食品輸出商談会に参加した。これは、本年度農林水産大臣より交付決定を受けた食のモデル地域育成事業を活用した活動であり、実施計画の中の「輸出ワーキング」の活動として実施したものである。
概要
⑴ 参加した食品輸出商談会の概要
- 商談会名称 沖縄大交易会プレ交易会
- 開催日時 平成25年11月14日(木)~15日(金)
- 会 場 沖縄コンベンションセンター展示棟(沖縄県宜野湾市真志喜4-3-1)
- 主 催 沖縄県、沖縄懇話会
⑵ 参加者
- 伊豆椎茸商業組合参加企業
- 伊豆の国農業協同組合修善寺営農センター
- 伊豆市農林水産課
- 静岡県東部農林事務所森林整備課
内容
「伊豆椎茸商業組合」の名称でサプライヤーとして商談会に参加し、伊豆産乾しいたけのPRを行うとともに、輸出による海外販路を開拓するためのきっかけを作るための情報収集及び商談を行った。
前夜祭フードショーにおけるPR(平成25年11月13日(水))
商談会に先立ち開催された「前夜祭フードショー」において、料理の食材として商談で商品提案する「乾しいたけ(どんこ)」を提供した。
食材は事前に花どんこ5kgを郵送してあり、メニューは会場となったロワジールホテルのシェフが開発したレシピとして調理され、立食ビュッフェにて参加しているバイヤーに振る舞われた。(「若鶏と乾しいたけ「どんこ」飲む生姜黒糖酢香り炒め」
当日は、海外バイヤーをはじめとする約500名の参加者が来場しており、多くの方に試食をしていただき十分にPRすることができた。当日は、海外バイヤーをはじめとする約500名の参加者が来場しており、多くの方に試食をしていただき十分にPRすることができた。
また、あわせて前夜祭会場に設置されたディスプレイコーナーに商品を展示し来場者に紹介した。
多くのバイヤーに見学していただき、提案商品についての質問を受けた。
商談会(平成25年11月14日(木)、15日(金))
個別商談
参加バイヤー及びサプライヤーから提出された「商談希望シート」を考慮し事前に事務局がマッチングした相手と、割り当てられたスケジュールの中で2日間商談を行った。
1商談の時間は25分。
基本的に、事前に商品提案書を提出した2つの商品(どんこ、スライス)について説明を行い、商品提案していない業務用については、当日持参したサンプルと価格表を提示し商談を行った。
商談に当たって、英語表記入りの名刺及び価格表を用意した。
伊豆椎茸商業組合は、事前にマッチングされた15のバイヤーと商談を行った。
また、前日のフードショーで約束をした1つの海外バイヤー、当日商品展示コーナーで声をかけていただいた1つの国内バイヤーとも個別商談を行った。
商談の結果、1つの海外バイヤーと小規模な取引が成立した他、15のバイヤーと継続交渉を行うこととなった。1つのバイヤーは不成立であった。
中国、香港、台湾のバイヤーは、過去に日本から乾しいたけを輸入した実績があるが東日本大震災以降取引を中止しているケースが多かった。中国は、放射性物質に対する対応がやや厳しいが、バイヤーによっては取引を希望する意向を伺うことができた。
インド、UAE、イスラエル等は、現在までに日本の乾しいたけを扱った実績はなく、一部で中国産等を輸入している。日本産の農産物は高級食材として人気があり、付加価値がある商品であれば値段が高くても売れるとのことであった。今後も継続交渉することとなった。
シンガポール、マレーシア等は、放射性物質に対する対応が大変厳しいとの情報があったため、事前の商談希望シートにおいて商談を希望しない旨提出していたため今回はマッチングされず商談を行わなかった。
国内については、日本各地の地方産品フェア等への商品提供を希望するバイヤーが複数あった。各会社で今後計画されている「地方の乾物フェア」「静岡フェア」等での取引が期待できた。(継続交渉)商品の付加価値を強く発信できるようなPR方法について改善要望があった。
商品展示コーナーにおけるPR
商談スペースに隣接して設置された商品展示コーナーにおいて、商品、展示サンプル、パンフレット等を展示し、伊豆産乾しいたけのPRを行った。
展示コーナーを見に来てくれた国内バイヤーとマッチング以外の商談の約束をすることができた。
その他
展示コーナーにおいて、日本貿易振興機構(JETRO)が出展しており、話を伺ったところ、海外バイヤーとの契約における留意点等について指導をしていただいた。また、静岡市にも事務所があり、相談をすれば個別の事例についても指導を受けることができるとのことであった。
海外との取引では難しい手続きや商談トラブル等注意しなければならない点が多いが、今回の商談会については、沖縄県が主催であり信用あるバイヤーのみが参加しているという点でサプライヤーとしても安心して参加することができた。
また、主催者側によって通訳の配置、申請書類の翻訳等を行うため参加者の負担が大きく軽減されていると思われた。
さらに静岡県(マーケティング推進課)のサポートもあり、初めて海外バイヤーとの商談を行う参加者にとっては良い条件で参加することができた。
実際に商談を行う中で、各国への輸出の事情等を知ることができ3日間を通じて大変有意義であった。参加した伊豆椎茸商業組合の組合員からも好評であった。
振興協議会輸出ワーキングとして、平成26年に開催される大交易会にも同様に参加する方向で検討していくこととなった。