乾しいたけのおいしさの秘密
乾しいたけの栄養
乾しいたけのビタミンDの含有量は、生しいたけの約「10倍」。1日に必要なビタミンD量の3分の1を乾しいたけ2枚で補えます。
そのほかにも、血中コレステロールの値を下げてくれる、エリタデニンを豊富に含むなど生活習慣病の予防にも役立つと言われています。おなか周りの気になるお父さん達にもおすすめです。
※ビタミンDは骨を丈夫にする成分です。
乾しいたけの保存
高温多湿が大敵です。未開封のものは常温保存で湿気の少ない冷暗所に置いてください。
開封したものは、密閉袋か密閉容器に移し替え、乾燥剤を入れて冷蔵庫に入れるとよいでしょう。もし、湿気を帯びた場合は、2~3時間ほど天日干しをしてください。
旨煮など味付けしたものは、冷凍保存すれば、使いたいときに使えるので便利です。
乾しいたけの料理
乾しいたけはどんこ型(肉厚)と、こうしん型(薄型)に分けられ、それぞれに適した料理があります。
どんこ型は肉厚なので、歯ごたえを味わえる「煮物」「炒め物」に最適です。
こうしん型やスライスされているものは、香りやうま味成分を生かす料理に向いているので、「お吸い物」「炊き込みごはん」に最適です。
乾しいたけの選び方
乾燥が、しっかりしていて、傘の表面は茶褐色でツヤが有り、傘の裏が明るい淡黄色をしているのが良品です。
種類・選び方・使い方
乾しいたけの上手な使い方
●もどし方のポイント
ひたひたの水で時間をかけてもどします。水でもどすと吸水量が多く、うま味成分(グアニル酸)が多く生成されるのでおすすめです。時間がないときは、ぬるま湯に砂糖ひとつまみを入れてもどします。調理用ラップをかぶせると短時間でもどります。レンジの場合は、ぬるま湯に乾しいたけを入れ、調理用ラップをして2分間で簡単にもどります。
●使うときのポイント
調理前に日光に当てると、ビタミンDが増量します。しいたけ本来の味や香り、栄養を損なわないためには短時間で調理するとよいでしょう。
上手な戻し方・使い方 — 必ずお水で。じっくり時間をかけて。
乾しいたけを戻す時には必ずお水で戻します。冷水(5℃前後くらい)で戻すとおいしく戻ります。
タッパーに入れて冷蔵庫で保存しながら戻すと簡単で便利です。
●軸(しいたけの足)を切り落とします。こうすることで戻しやすく、また余計な渋みも出なくなります。
●汚れやほこりを落とすためにサッと水洗いします。
●ボウルやタッパーに水と乾しいたけを入れます。目安としては500ccに中くらいの大きさのしいたけを3,4枚。
●そのまま冷蔵庫で冷やします。
しいたけの大きさによって戻す時間は変わります。目安としては、軸の付け根付近が軟らかくなるまで戻します。
生産者が語る伊豆原木しいたけの魅力 — 浅香博典さん47歳
賞をとるために特別なことはしない
伊豆市土肥町のシイタケ農家 浅香博典さん47歳
静岡県伊豆市土肥町でおじいさんの代からシイタケ農家をはじめ、博典さんで3代目。
「天白どんこづくりにおいて、私の先代から現在にかけて、天皇賞をはじめ、農林水産大臣賞など、数多くの受賞をしてまいりました。しかし、賞をとるために、特別なことはしていない。」と浅香さんはいいます。「伊豆の風土と心意気が生み出すしいたけの味をみなさんに知っていただきたい」そう熱く語ってくれました。
天白どんこはチョー貴重
乾しいたけのどんこには、いわゆる普通の「どんこ」「茶花どんこ」「天白どんこ」の3種類あります。
「どんこ」は、傘の肉が厚く全体が丸みを帯びていて、表面がつるっとしています。
「茶花どんこ」と「天白どんこ」は、基本同じものですが、白くてきれいに割れ目がはいるものが「天白どんこ」、水がかかって茶色くなったものが「茶花どんこ」。
天白どんこは全体のわずか1%しかできない、とても貴重で価値の高い乾しいたけです。
浅香さんがしいたけを育てているのは伊豆の土肥地区。
シイタケ栽培に使う原木は、コナラとクヌギがありますが、土肥ではクヌギを多く使っています。クヌギは年輪の幅が広く、樹皮がフカフカで厚い。その樹皮を突き破って出てくるしいたけは、力強く育ちます。そこに土肥の「海風」がほどよくあたり、質のいいしいたけが出来上がるのだといいます。海あり山あり、そして豊富な樹木がありと様々な条件を満たしている土肥地区はしいたけづくりに最高の場所といえます。
こだわりにこだわって…目標は海外進出?
浅香さんのシイタケ栽培は、さまざまな工夫がある。無数に広がるしいたけのホダ木の上を見ると、たくさんの藤の木のつるに覆われています。
通常ビニールハウスでの栽培が多いしいたけですが、浅香さんのところでは、まさにお「藤の木ハウス」といった感じです。冬は葉っぱも少なく、風通しはいい。夏場は一面に藤の葉が覆い、直射日光をしっかりとさえぎり、日陰を作ってくれています。また、薪を使って乾燥室を作り、燃料費を抑えています。通常、薪は「匂いがつく」と言われ嫌がられているそうだが、浅香流はそこにも秘密があるそうです。
浅香さんの夢は「海外にも出荷すること」。その野望は、毎日の積み重ねに確実に宿っています。
生産者が語る伊豆原木しいたけの魅力 — 山口茂さん42歳
親孝行で始めたシイタケ栽培
伊豆市中伊豆地区のしいたけ農家 山口茂さん42歳。
父親の代から始め山口さんで2代目。後継者不足と言われるしいたけ農家の中でも、42歳という山口さんは超若手と言えます。しいたけ農家を目指すきっかけを聞いてみると、「おやじが築きあげてきたものを、自分の代でつぶしたくなかった。親孝行のつもりです」と話してくれました。1年365日、毎日休みなく行う過酷なシイタケ栽培ですが、「自分たちが高級車でも乗りまわしていれば、後継者も出てくるかな・・・(笑)」と明るく笑い飛ばしながら、後継者が不足していることを危惧していました。
日本一のしいたけ原木栽培
しいたけの栽培方法は「菌庄栽培」と「原木栽培」の2種類があります。一般的にスーパーマーケットで販売されているほとんどが菌庄栽培のしいたけです。
山口さんをはじめ、伊豆地区のしいたけはほぼ原木栽培です。日本でシイタケ栽培が始まったのは、江戸時代と言われていますが、その発祥は伊豆という説もあります。
シイタケ原木栽培は、ホダ木に菌を打ち、1年半かけてしいたけが出てきます。時間もかかるうえ、気候に左右されてしまいます。しかし山口さんたち伊豆地区のしいたけ農家はその原木にこだわる。「とにかく原木栽培発祥の地と言う伝統を守りたい」「肥料も農薬も使わない唯一の野菜なので、食べてみれば、味、香り、すべてが違う」と自信を持って話してくれました。こだわりと伝統の技で作られる清助しいたけは、今や全国で知られるしいたけとなっています。
しいたけが里山を守る!?
山口さんたちのシイタケ栽培は、里山の環境保全にも一役かっています。
しいたけの原木は当然、山に生えています。「その木がいいものでないと、いいしいたけもできない。」と山口さんたちは考えています。つまり、里山の木は大きくなりすぎると、切っても次の芽が出てこないとのこと。そのまま手を加えずにしておけばいいというものではないそうです。
山の木も「更新することが大事」と山口さんは言います。そこで自分たちで木を切り、切り株から芽を出させてもう一度山を再生させるという活動を行っているのです。